『アムリタ(下) / 吉本ばなな』

アムリタ〈下〉 (角川文庫)

吉本 ばなな / 角川書店



サンドイッチとコーヒーと、陽と、古い家具の部屋。
ベランダに揺れる花々。

失うものができると、はじめて怖いものもできるんだね。
でもそれが幸せなんだね。自分の持ち物の価値を知ること?

人間って簡単だなぁ。簡単さが偉大だとも。

「…つらいものどうしがつらさで友達になるなんて最低よ。
 …一緒に育って同じものを食べて、同じ親がいて。お父さんは違うけど、変わりないよ。」

小説の生みだす空間の生々しさっていうのは本当に年月を超えるんですね。
小説家はすばらしい職業です。特殊技能です。


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「…かたよっていた朔ちゃんのほうが、ぼくのつらさをわかってくれたような気がして」
と、弟の由くんが、しめ殺される前の鶏みたいな悲壮な顔してそのあとに、
「淋しくて、何だか」
と言い足します。
お姉ちゃんの主人公の朔ちゃんも同じ意見を思いながらも「ばかもの!」というのです。
そして、
「…つらいものどうしがつらさで友達になるなんて最低よ。
 …一緒に育って同じものを食べて、同じ親がいて。お父さんは違うけど、変わりないよ。」

と言葉をかけるのです。

単行本のあとがきで、ばななさんが、
”この小説は「きょうだい」の愛情の物語でもあると思っています。”
と書かれていました。

上下巻を通じて、姉と弟が一緒に、それぞれに、たくましくい心に成長していきます。
その様子がとても好きでした。
ぼくのお姉ちゃんを朔ちゃんと呼び、朔ちゃんは弟をおまえと呼ぶ。
この二人に会いたいなときっとまた思うはず。
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by thurezure | 2011-07-05 06:21 | 読んだもの
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