『月下の恋人 / 浅田次郎』

月下の恋人 (光文社文庫)

浅田 次郎 / 光文社


本の最後に『月下の恋人』補遺として浅田さんの文章が寄せてあります。

…この短編集を改めて通読し、われながら何とまあ古くさい小説ばかりであろうかと呆れた。
ただしこの古さが悪いと思ったわけではない。
…はたして若い世代の読者が、こうした結構を持つ小説に納得するであろうかと私は懸念した。
だが重ねて思うに、これ以上の手法は使おうにも使えぬのだから仕方がない。
そう思い定めて、表題は『月下の恋人』とした。
雪や時雨や、蛍火や秋虫のすだきや、自然から遠のいた読者にはうんざりするようなさまざまの風景の中でも、
とりわけこの短編群には満月のイメージが濃いと感じたからである。…


私自身は、表題の「月」より”告白”の章に出てくる「雪」を濃く感じました。
不器用だけれど、誠実で温かい性格をしている血のつながりのない父親と娘の話です。
クライマックスに泣きそうになりました。
浅田さんの小説には、この父親像のような人物が時々、出てくるように思います。
とても魅力的で大好きです。

正直、この小説は私自身には早すぎたぁの思いが大きかったです。
10年、20年後に再び読んだとき、どんな風に感じるのだろう、などと。
最初から最後まで、そんな思いをずーっと持ちながら読んでいました。
なので、最後の浅田さんの補遺を読んだとき、妙に納得しました。
ばななさんの本の後に読んだものだからなおさら、あまりにも古くて…どうしようもなかったですぅ。
でも、この古さも浅田さんの魅力なのですね。
そこを知り得るには…まだまだ、な私でした。
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by thurezure | 2011-07-10 18:10 | 読んだもの
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