『ハゴロモ / よしもとばなな』

ハゴロモ (新潮文庫)

よしもと ばなな / 新潮社


内容(「BOOK」データベースより)
失恋の痛みと、都会の疲れをいやすべく、ふるさとに舞い戻ったほたる。
大きな川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切な何かを、彼女は取り戻せるだろうか…。
赤いダウンジャケットの青年との出会い。
冷えた手をあたためた小さな手袋。
人と人との不思議な縁にみちびかれ、次第によみがえる記憶―。
ほっこりと、ふわりと言葉にくるまれる魔法のような物語。

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p46 人の、感じる心の芯のところは、決して変わることがないようだ。

p49 「…子供は、楽しくて落ち着いたものが大好きなんだよ、
    でもお母さんたちは、その反対の人が多いの。
    特に迎えに来るときは、すごくあせっているからね。
    好かれることは、それだけなんだけどね。」


p59 人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。

とても好きな本です。
ファンタジーのようでもあり。
でも、しっかり現実を教えてくれる本でもあり。
11月の入院中、早起きしてベッドの電気をつけて静かななか、しんしんと読んでいました。
心地良くて今でもその感覚を覚えています。

本の初めの方、舞台になる町の様子を、
どこを歩いていても川の音が、闇の中をついてくるようだった。
町中に大小さまざまな橋があり、橋はある種のリズムを作り、
その川ばかりの景色の中でまるで句読点のように人々をふと水辺に向かって立ち止まらせていた。
(p5)”
とあります。
この文章に、本っていいな。
ばななさんっていいな、と思ったのでした。

祖父と手をつないでいると、空と地面がぐんと近くなって、手に汗をかいた。
多少恥ずかしくても、母の死におびえた子供の心は、その手をふりほどくことはなかった。
祖父がいつか死んだとき、後悔したくない。と私は思っていた。
手に汗をかいても、その時気恥ずかしくても、思い出がせまってきて苦しくても、
後で思い出せば絶対に大切なんだと思っていた。
(p44)”
場面は全く違えども、こんな風に思う瞬間、あります。
後で思い出せば絶対に大切なんだ、と思う瞬間。
その瞬間を、きちんと感じながら、日々を生きていきたいと改めて思わせてくれた本でした。
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by thurezure | 2011-12-27 06:12 | 読んだもの
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