カテゴリ:読んだもの( 62 )
『高山ふとんシネマ / 高山なおみ』

高山ふとんシネマ

高山 なおみ / 幻冬舎

<内容紹介>
このあやふやな世界を生きてゆくのだ。
大好きな人の声を、忘れたくない風景を、何度も脳に刻み、体にしみこませる。
ふとんの中から紡ぐ36編
人気料理家の著者がいちばんの“自分の感じ”を味わえる場所だという布団の中。
テレビは寝室の押入れにあり、本を読むのもたいてい布団の中。
そこは安心できる日常の場所でもあると同時に、宇宙の果てまでもつながるような不安定で無防備なところでもあるのです。
うつろいゆく世界のなかに確かなものなんてあるのだろうか――?
そんな問いを繰り返しながら、布団の中で見て、聴いて、感じた、映画や音楽や本のこと、生や死や大切な人のことを綴ります。
生きることの自由さと不安さとあやふやさをまっすぐに受け止め、五感をまるごと使って紡ぐ文章は、素材を生かしたおいしい料理のよう。
どうぞ存分に味わってください。
作品に触発され創作した料理のレシピも収録しています。

:::::

 孤独とひとりぼっちは違うって、誰かが言っていた。
 赤ずきんは孤独だけど、さびしがりやではない。(p64)

 人は、いつか死んでしまうし、目の前にあることだって、少しずつ少しずつ分からないうちに変化して、最後には消えてなくなってしまう。(p87)

 生きることの中には、滅びゆくものと更新するものがいっしょくたにある。
 新しいことがはじまるのは、前のことが古びるということ。
 今あったことはさっきになり、そのうち過去のものいなって、忘れ去られる。
 悲しい記憶も、楽しい記憶もすっかり慣れ親しみ、むこうが透けて見えるくらいに薄らいでからでないと、
私たちは前へ進めない。(p126)

「ぽってるマッシュポテト」レシピ(p172)

 どうして誰も教えてくれなかったのだろう。
 この世界はワカラナイと。
 ワカラナイってことばほど、確かなことはないのにな。(p179)


e0025827_17273522.jpge0025827_17274831.jpg

イラストもとても良かったです。
*高橋かおりさん
以前あった諸国空想料理店Kuu Kuuの元スタッフさんで、
2009年、「日々ごはん11」なども表紙・挿絵を担当していらしたのですね。
[PR]
by thurezure | 2012-01-22 17:54 | 読んだもの
『チェリー / 野中ともそ』

チェリー(ポプラ文庫)

野中ともそ / ポプラ社

内容(「BOOK」データベースより)
夢のような幸せな日々には終わりが約束されていた―。
13歳の少年ショウタは異国の地でモリーという名の不思議な女性と出会う。
始めは奇妙な行動に戸惑うが、いつしか二人の間には絆が芽生えていった。
美しい自然を舞台に繰り広げられる永遠の出会いの物語。

p121 綺麗な場所に住むと、ひとは心まで綺麗になるなんていうけれど。そんなのうそだ。
     澄んだものを目に映したり、美しい場所に来れば来るほど、
   ひとは、自分のきたないところやうそっぱちの部分に気づかされちまうものだ。

p203 いついつまでに戻る、なんて言葉使っちゃったら、苦しいでしょ。いったほうが。
   ああ、そのときまでに帰らなきゃって苦しくなっちゃう。

p218 この女のひとは、甘さに飢えていたんだな、と。
   絶望した人生に、甘いひとさじを落としてくれるお菓子のような何かを。

p275 とてもだいじな思い出とか何かを愛した記憶って、モビールみたい。
    細くて見えない糸で結ばれている。
    頼りなく見えても、バランスが崩れても、鎖みたいにちゃんとつながってるんだよ。
    みんなどこかに行っちゃったとしたって、鎖の輪っかのどれかひとつに自分がいるって思うのはうれしいじゃない?

p285 だいじなことは、今のぼくにとってただひとつしかない。
    そのひとが生きてどっかにいる、それだけだ。
    息をして、笑顔で新しい朝を迎えている。ということだ。


:::::

この本の中に「ハーヴェイ」という白黒時代の古めかしいハリウッドのコメディ映画が出てきます。
この映画を観てみたいと思いました。

本を読むとき、巻末にある解説やあとがきが私は好きなのですが、
この本には書評家の方の解説が書かれていました。

良質な物語には、本の世界を超えて私たちの日常を明るく強く照らしてくれるだけの力があるのです。
…「思い出」は幸せな記憶となって、これからの彼を支え続ける。
本書を読んだ私たちの「これから」も。 


今年も本を読もうと思います。
そう多くは読めないけれど。
[PR]
by thurezure | 2012-01-11 06:07 | 読んだもの
『チェリー / 野中ともそ』

チェリー(ポプラ文庫)

野中ともそ / ポプラ社


著者は、男性か女性どちらだろうと想像しつつ読みました。
男性とばかり思っていた私でしたが、正解は女性。
イラストレーターでもある野中さん、なのですね。
本も映画も、ずっと気になっていた「西の魔女が死んだ」の単行本装画を担当されていたと知りびっくり。

そもそも、この本を知ったきっかけは大江千里さんが読んでいたことから。
野中さんのプロフィールを見てみると、
「音楽出版社に勤めたのち、音楽ライター、ファッション誌編集者として活動。
 B'z、久保田利伸他ミュージシャンの取材でたびたびNYを訪れる。」
とありました。
で、1992年からNY在住と。
(なるほど。)

「好き」がどんどんとつながっていく。
千里さん→チェリー→西の魔女が死んだ→?
さて続きは。
こういうの、楽しいです。
(*本の感想は、またのちほど。)

:::::

今日から三連休です。
年末年始の忙しさも落ち着いて、ようやくのんびりできそうです。
[PR]
by thurezure | 2012-01-07 06:50 | 読んだもの
『ハゴロモ / よしもとばなな』

ハゴロモ (新潮文庫)

よしもと ばなな / 新潮社


内容(「BOOK」データベースより)
失恋の痛みと、都会の疲れをいやすべく、ふるさとに舞い戻ったほたる。
大きな川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切な何かを、彼女は取り戻せるだろうか…。
赤いダウンジャケットの青年との出会い。
冷えた手をあたためた小さな手袋。
人と人との不思議な縁にみちびかれ、次第によみがえる記憶―。
ほっこりと、ふわりと言葉にくるまれる魔法のような物語。

:::::

p46 人の、感じる心の芯のところは、決して変わることがないようだ。

p49 「…子供は、楽しくて落ち着いたものが大好きなんだよ、
    でもお母さんたちは、その反対の人が多いの。
    特に迎えに来るときは、すごくあせっているからね。
    好かれることは、それだけなんだけどね。」


p59 人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。

とても好きな本です。
ファンタジーのようでもあり。
でも、しっかり現実を教えてくれる本でもあり。
11月の入院中、早起きしてベッドの電気をつけて静かななか、しんしんと読んでいました。
心地良くて今でもその感覚を覚えています。

本の初めの方、舞台になる町の様子を、
どこを歩いていても川の音が、闇の中をついてくるようだった。
町中に大小さまざまな橋があり、橋はある種のリズムを作り、
その川ばかりの景色の中でまるで句読点のように人々をふと水辺に向かって立ち止まらせていた。
(p5)”
とあります。
この文章に、本っていいな。
ばななさんっていいな、と思ったのでした。

祖父と手をつないでいると、空と地面がぐんと近くなって、手に汗をかいた。
多少恥ずかしくても、母の死におびえた子供の心は、その手をふりほどくことはなかった。
祖父がいつか死んだとき、後悔したくない。と私は思っていた。
手に汗をかいても、その時気恥ずかしくても、思い出がせまってきて苦しくても、
後で思い出せば絶対に大切なんだと思っていた。
(p44)”
場面は全く違えども、こんな風に思う瞬間、あります。
後で思い出せば絶対に大切なんだ、と思う瞬間。
その瞬間を、きちんと感じながら、日々を生きていきたいと改めて思わせてくれた本でした。
[PR]
by thurezure | 2011-12-27 06:12 | 読んだもの
本を買う。
週末、本屋さんで3冊の本を買いました。

高山ふとんシネマ

高山 なおみ / 幻冬舎

大好きな高山なおみさんの本です。
本をパラパラして即買いました。
本自体にも工夫がいっぱいな素敵な本です。
あとがきさえもまだ読んでいません。
すごく楽しみ過ぎて、久々の高山本。

T-fal 圧力なべ レシピブック (DIA COLLECTION)

ダイアプレス

圧力鍋、引き続き活躍中です!
基本なレシピばかりですが、使えそうと思って購入。
何より800円とは、安いです。

かぞくのじかん 2011年 12月号 [雑誌]

婦人之友社

何気に良い内容でたまに買っています。
自分時間をどう作るか、といったことがよーく書いてあります。
[PR]
by thurezure | 2011-12-19 06:21 | 読んだもの
私の課題
心地よく自分の中で”課題”をいくつか持っています。
(準備も完璧なのに、なかなか始動しないものが多いのですが…。)
そのうちのひとつに「クロスステッチ」があります。

■刺し子
10年ほど前のマーサスチュアートが紹介した刺し子が好きです。
刺し子本来の感じも好きですが、
優しい色の刺繍糸で作られたマーサの作品は、とても新鮮でした。
e0025827_5572871.jpge0025827_5575896.jpg



■クロスステッチ
刺し子の面での楽しさと違って、クロスステッチはポイントの図がなんとも可愛らしく楽しいです。
編み物にも通じる気がして、クロスステッチの図を編み物に取り入れれば画になるんじゃないかとも。

ぼくのステッチ・ブック 大図まことのクロスステッチ大図鑑!

大図 まこと / 白夜書房

この本は、見ているだけでも楽しくてよくパラパラしています。
*通園用に買った姉弟のお揃いのユニクロのダウンのどこかにポイントをつけてあげたくて購入したのも理由のひとつでした。

■おまけ
今朝、大橋歩さんのHPで教えてもらった刺繍の本です。
「そういえば、クロスステッチ!」と気づかせてもらいました。あはは。
クロスステッチ、そろそろ始動しようかと。
この本も気になります。
(本ばかり買ってどうするんだろ…。)

ハンカチ刺繍―小さなステッチをほどこして、特別な一枚を作る

青木 和子 / 池田書店



More
[PR]
by thurezure | 2011-12-03 06:10 | 読んだもの
『キッチン / 吉本ばなな』

キッチン

吉本 ばなな / 福武書店

スコア:


内容(「BOOK」データベースより)
私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う
―祖母の死、突然の奇妙な同居、不自然であり、
自然な日常を、まっすぐな感覚で受けとめ人が死ぬことそして生きることを、
世界が不思議な調和にみちていることを、
淋しさと優しさの交錯の中であなたに語りかけ、
国境も時もこえて読みつがれるロング・ベストセラー、待望の定本決定版。
“吉本ばなな”のすべてはここから始まった。


P65 「…本当にひとり立ちしたい人は、何かを育てるといいのよね。
    子供とかさ、鉢植えとかね。そうすると、自分の限界がわかるのよ。
    そこからが始まりなのよ。」


p90 その人はその人を生きるようにできている。
   幸福とは、自分が実はひとりだということを、
   なるべく感じなくていい人生だ。


::::::::

解説に、吉本ばななの世界はいつも死に囲まれているが、主人公の少女や少年は孤独の底から自分を立て直して生きていこうとする健康な日向性に輝いている…。
と書かれていました。

私が読んだ数冊のばななさんの本にも、必ず主人公が死と直面します。
その悲しみからの立ち上がり方が、食べたり、眠ったり、泣いたり、笑ったり、
肉体の自然に従って元気を取り戻そうとします。
頼もしく、若々しく、読んでいて自分も主人公と一緒に元気になっていくような感覚になります。

私がばななさんの本に惹かれた理由が、この解説にありました。
キッチンの内容もさることながら、この解説が読めたことに良かったと思えたのでした。
[PR]
by thurezure | 2011-11-14 18:12 | 読んだもの
『海のふた/ よしもとばなな』

海のふた (中公文庫)

よしもと ばなな / 中央公論新社


ふるさと西伊豆の小さな町は、海も山も人も寂れてしまっていた。
実家に帰った私は、ささやかな夢と故郷への想いを胸に、大好きなかき氷の店を始めることにした。
大切な人を亡くしたばかりのはじめちゃんと一緒に…。
自分らしく生きる道を探す女の子たちの夏。
版画家・名嘉睦稔の挿絵26点を収録。
内容(「BOOK」データベースより)

:::::

夢をかなえるのだと言っても、毎日はとても地味なものだ。

「人ってそんなに遠くのことを心配するように壮大にはできていないと思うの」

「…だからこそ、大したことができると思ってはいけないのだと思えることこそが好きだった。
 私のできることは私の小さな花壇をよく世話して花で満たしておくことができるという程度のことだ」


この本を通勤電車の中で読み終えたその日、庭の手入れをしようと花の苗を買って帰りました。
自分にできることを確実にしていくことこそが大切で、
結果、それが自分を満たしてくれるものなのかなと気づかされました。

はじめちゃんが亡くなったおばあちゃんのことを想い、泣いてしまう場面に(P154~P159)、
長いこと、じーんとしていました。
電車の中だったので流れないように涙を堪えましたが、確実に赤目になっていました。
一人、部屋で読んでいたら絶対に号泣していました。
ばななさんの文章に大きく感動しました。

*原マスミさんの歌う、同名の曲「海のふた」は栗コーダーカルテットさんの「夏から秋へ渡る橋」というアルバムの中に。
[PR]
by thurezure | 2011-09-19 08:51 | 読んだもの
『鏡をみてはいけません / 田辺聖子』

鏡をみてはいけません (集英社文庫)

田辺 聖子 / 集英社

内容(「BOOK」データベースより)
朝ごはんを一緒においしく食べられる人と住みたい―。
そんな思いが叶って野百合は仕事で知り合った子持ちの律と同居をはじめるが…。
10歳の宵太の世話をやき、元気の素の食事を作る暮らしはなかなか素敵で心弾む。
が、ふとなしくずしに男の人生に取りこまれていくような不安を感じる。
私はなぜここに居るのだろうか。
女が美しさを求めて、自分の納得のいく居場所を模索する愛の長編小説。

:::::

「会社で働き、家でも働く、なにもそんな瞬間最大風速みたいな生きかた、せんでもエエやないか。
 、、、走らんと、歩こやないか」

「うまい朝飯を食うてたら子供は非行せえへん」
なんて言葉が出現してきます。
なんとも楽しい。

私には、初めての田辺聖子作品でした。
解説の辻仁成さんも書いていらしたけれど、
「田辺さんの年齢や経験からして、この感覚を持つことの若さと新しさに驚かないわけにいかない」
私も、本を読みながらずっとそう感じていました!
現在、御年83才。
刊行日より、この本は68才頃に書かれたものになるのでしょうか。
ぜんぜん、若い作家さんの本のようなのです。

この本を読んでいると、旅館のような朝食を作って食べたくなります。
レシピにもなりそうな勢いで、お料理の様子が書かれています。
小さな男の子は、とても可愛くて。
野百合と律は、どうする、結婚する?しない?などのそんなことではなく話は進んでいきます。
そこが良いと思いました。

「きちんと生きること」と「自由に生きること」の二つを、この物語から感じました。
人と人とが同じ屋根の下、うまく生活していくためには、この二つが大切なのかも、などと。
律は、きちんとして、自由な人間でした。
強くて優しくて。
別れた奥さんも、律にとってはずっと家族なんだと。
形ではなく、もっと肝心なものはたくさんある。
物事を決めつけないことが、どんなに人をうまく運んでくれるものなのかと。

あ!曖昧な愛情を、もしかして”情”と呼ぶのでしょうか。
たった今、そんなこと思っちゃいました。
[PR]
by thurezure | 2011-08-28 16:47 | 読んだもの
『眉山 / さだまさし』

眉山 (幻冬舎文庫)

さだ まさし / 幻冬舎


≪あさすじ≫
東京で働く咲子は、母の入院の知らせを受け、久しぶりに徳島に帰郷する。
母子家庭で育った咲子は、気が強く何でも一人で決めてしまう母に寂しさを感じていた。
咲子は医師、寺澤から母が献体を希望していることを知り、いらだちは募る。
ある日、母の友人から箱を手渡される。
中には、死んだと聞かされていた父から毎年届いていた手紙の束が入っていた。
隠された母の恋を知った咲子は、東京に戻り、両親の思い出の場所を訪ね歩き…。

P197
「大好きな人」の故郷にそっと根を下ろして生きてきた母は、
人生最後の阿波踊りに「大好きな人」の一体何を刻もうとしているのだろう。
「世の中に祭り多しといえども、神社仏閣や権威がらみでない祭りは少ないんだよ」
母が昔言った言葉が咲子の胸の内に響く。
「自由平等なんざ、絵に描いた餅だけれど、阿波踊りだけは自由平等そのものさ。
 踊りだって本当はどう踊ったっていいんだからね」
それら母の言葉は実はずっと「大好きな人」に繋がっていた言葉だったろう。


:::::

何年か前に、たまたま何かで映画の予告を見て、この本の存在を知りました。
それからずっと、夏に読もうと決めていて。
ようやく読めたその時に、”神田のお龍”こと、母龍子さんに私は惚れたのでした。
夏がくるたびに、見たことのない阿波踊りの壮大さも想像しながら、
神田のお龍さんの生き方を感じたくなるのです。
かっこいいのです。
絶対、かっこいい!
きっと来年も暑い夏に、私はこの本を読むことでしょう。
そして、かっこいいなーと。
[PR]
by thurezure | 2011-08-09 06:18 | 読んだもの